子供の心の中を覗いてみたら(のらやま通信 NO.71 2000年11月号)

子供の心の中を覗いてみたら

 今年、わが家の母は小学校PTAの会報係。二学期末発行の会報が『親の知らない子供の心を覗いてみよう』という企画で、子供達にアンケート調査をしました。「お父さん、お母さん、おじいちゃんやおばあさんから言われることで、うれしい言葉やいやな言葉があったら、それぞれ3つまで書いてください」という質問に、200人の子供達(全校生徒!)が答えてくれました。

 うれしい言葉ベスト3(複数回答)

1.「ありがとう」   94人

2.「がんばったね」  30人

3.「やさしいね」    4人

その他、「家族の星だ」「お母さんのかわいい子」「大きくなったね」「えらい!」「頼りになるよ、よろしく」など。

 

 いやな言葉ベスト3(複数回答)

1.「バカ」      46人

2.「勉強しなさい」  19人

3.「早くしなさい」  14人

その他、「ちゃんとしなさい」「へたくそ」「何をやっているんだ」「あっちへ行け」「がまんしなさい」「何でそんな顔をするの」など。

 

アンケート結果を見て、広報係7人のお母さん方が感想を出し合いました。

 

「小さいときはバカなんて無意識に言ってしまうのよね。さすがに高学年になると言わなくなるけど」

「ついついバカが口から出てしまうのよね。バカが日常化していることを反省したわ」

「どなりつけるバカもあるし、軽い気持ちで口にするバカもあるし、状況もいろいろだけど、子供にとってみれば重い言葉なのね」

「女の子は4、5年生にもなると、母親と言い合いになるのよ。だいたい女は怖いものよ。母親の私も本気になるし、娘も遠慮がないしね」

「うれしい言葉として『ありがとう』と答えたのが、200人中94人。二人に一人というこの数字はすごいよね」

「親から子供にちゃんと感謝の気持ちを言葉に出して言うことで、子供もうれしくなるんだわ」

「お手伝いして当り前というのではなく、ありがとうと言うことで、またやる気になるということかしら」

 

 そして、今回のアンケート調査から導かれた教訓。

【その1】「バカ」は禁句

(考えなしに使ってしまう親こそオオバカもの)

【その2】「ありがとう」「がんばったね」と正当に評価してやることが、子供の心を和ませやる気もおこさせる

(親子関係だけでなく、夫婦関係、人間関係すべてにいえることですが)

 

 ところで、一番気になるのはわが子がどう答えたか。アンケート用紙は無記名回答のうえ筆跡をみてもわかりませんので、直接聞いてみました。

 

 《うれしい言葉》

長女(小5)  あげる

次女(小4)  ありがとう/助かったよ

 《いやな言葉》

長女(小5)  うるさい/ちょっと待って

次女(小4)  何でそんなことするの

 

 わが家の母自身、意識して「バカ」は使いませんし、家族の中でも誰も言いません。娘達に聞いても大人達からバカと言われたことはないとのこと。その点はひと安心。しかし、「あげる」と「ちょっと待って」には考えさせられました。長女によると「あげる」とは「お小遣いをあげる」とか「お菓子をあげる」ということだけでなく、「本屋に連れて行ってあげる」「将棋の相手になってあげる」というようなことまで含むのだそうです。また、親達に何か頼みごとをしてもすぐにはやってくれずに「ちょっと待って」ばかり。待たされたあげくに、頼みごとを聞いてもらえないこともあるというのです。

 自営の専業農家ですと親子の会話の時間も親子でふれあう時間も多いように思えるのですが、実はそういう時間が少なかった、足りなかったということかもしれません。父や母にもっともっと構ってもらいたい、子供達のために親が何かをしてくれることを特にわが家では期待されているようです。

 

 3月に地元の子供会で都内の遊園地へ遊びに行ったのですが、娘達はとても気に入りもう一度行きたいと言っています。そういえば父親が苦手なこともあって、親子でディズニーランド以外のいわゆる遊園地に行ったことがなかったかもしれません。

 春の頃は「田植えや梨の摘果で忙しいからそれが終わったら」と我慢させていましたが、夏になると「梨の収穫や稲刈りが終わったらね」に変わって、「少し待て」が「ずーっと待て」になってしまいました。子供達も学校行事、部活動やお稽古事でいろいろと忙しく、親の都合ばかりで行けなかったのではないのですが、いまだ10月を過ぎても実現できていません。でもいつかきっと連れて行って「あげる」から、ね。