道の駅は未知の域?(のらやま通信 NO.76 2001年4月号)

道の駅は未知の域?

 4月20日に町内に道の駅「しょうなん」がオープンします。敷地内に農家有志の経営する農産物直売所が開設されます。わが家の農産加工所からも出品しようかと考えているのですが、はたして本格稼働へスタート!といけるでしょうか。

 加工所を作ろうと思ってここ数年、あちらこちらの直売所を見歩きしましたが、特に印象の残ったお店を紹介します。

・ファーマーズショップこぐれ(東京都練馬区

 いつもお客がいっぱいなのは立地のよさだけではないようです。運営組織がしっかりしていて、有機野菜を中心に作付け計画や出荷調整等により魅力ある品揃えに配慮しているようでした。朝どり新鮮野菜に加え、花苗、寄せ植など色取りどりの花も咲き乱れていました。加工品で興味を持ったのは漬物。訪れた日には農家のお母さん達の作った大根の酢漬けがいっぱいでしたが、外部の漬物屋さんの品より売れ行きがよいとか。

・JA酒々井直売所(千葉県酒々井町

 野菜を買いに来たついでにJAの商品(種子や鎌など)も買ってもらうという具合に、JAと農家がうまくやっている感じでした。ここの直売所の特徴は加工品の多さです。白い餅はもちろん、かき餅、いも入り餅といった米の加工品、梅干し、漬物などがそれぞれコーナーを持っていて、出品者も種類も量もいっぱいでした。出品者の一人の方は、自家用飯米以外はすべてもち米を作付けし、餅に加工、直売してしまうそうです。

・農産物直売所浜だいこん(千葉県白浜町

 房総半島南端、野島崎灯台そばの直売所で倉庫を改造した建物でした。房総の直売所らしくストックやキンギョソウの花がいっぱいでした。最近、技術指導を受けて作り始めたという手作り大福が人気商品で、イベントの日には400個も売り上げたという記録があるそうです。作り方も教えてもらいました。直売所の中心メンバーは皆60才以上の方々で、高齢化率の高い地域とはいえ、おばあちゃんパワーには脱帽です。

 

 農産物直売所の魅力とはなんでしょうか?

 農産物の価格が市場によってではなく生産者自身によって決められる、新しい農業の救世主だとかいわれてもてはやされ、ここ10年くらい全国的ブームとなってあちこちで直売所が開設されてきました。当初はめずらしさもあって賑わっていますが、次第に客足の遠のく直売所も少なくないようです。最近はどこにでも直売所があって、商品もどこも同じようなものが並んでいて、価格も決して安くないという声も聞きます。消費者の移り気ばかりでなく、農家側の安易な取り組みにも問題があるかもしれません。

 価格と商品の価値のバランス、コストパフォーマンスが良いか悪いかで買ってもらえるかどうかが決まります。農産物直売所の商品の価値や魅力は、「新鮮」「安全」「おいしさ」「オリジナリティ」だと思います。

 

 元気な直売所だと思えるところは総じて女性が元気です。女性は日々の生活の中で様々な工夫をしながら家族の健康維持や子育てを担ってきました。大量生産され世界中に流通しているものばかりの中で、かつては個々の家々で作られていたものを、もう一度女性の手に取り戻す。そういう「本物」こそが直売所の魅力的な商品になるのではないでしょうか。つまり、女の腕の見せ所というわけです。さあ、がんばらなくちゃ。