地域の教育力(のらやま通信 NO.63 2000年3月号)

地域の教育力 

 年度末を迎え、慌ただしいけれどもほっと一息ついている我が家の母です。父が消防分団長なら母は子供関係の役員というわけで、小学校、中学校、子供会のトリプル役員を送った一年でした。小さな町の小さな地区で子供が3人いて、元教員となれば役員の声はかかってきますし断われません。三つの役員のうち精神的な負担の大きかったのは、子供会育成会副会長でした。会長は男性ですが、実質的な企画、運営は副会長以下7名の女性役員で行います。

 今年度の子供会活動をすすめる上で、次の三つの方針を立てました。

  • 子供の意見を尊重すること

 おばさん達7人が仕切るのですから、きちんとしたプログラムがある訳でもありません。かといって、小学校1年生から6年生までの年令差のある子供達の意のままという訳にも行きません。そこで、選択肢を用意し、それぞれのプラスマイナスを考えさせ、事業計画をたてました。子供達と話し合うために小学校へ乗り込んでいくこともたびたびありました。

  • 事故をゼロにすること

 子供会のメンバーは地区内の小学生60人。おとなしい子もいればやんちゃな子もいます。子供保険や旅行の傷害保険に加入し、活動のたびに救急箱、緊急連絡簿を用意しました。1年間のトラブルはバス酔い2名と包丁で指を切った子一人だけで済みました。

  • 地域に貢献させること

 廃品回収、地区集会所の掃除、盆踊りの太鼓たたきなど、子供達にとってみれば地域ボランティアという意識はなかったようですが、空き缶の回収も集会所周りの草取りも友だちと一緒なら楽しい、面白かったとの感想もあり、まずはボランティア体験としては成功ということでしょう。

 一年の活動を振り返ってみると、…

4月:新会員(一年生)歓迎のバス旅行。市川市の県立現代産業科学館へ。

5月:春の廃品回収。地区全戸に協力依頼文を配り、新聞、雑誌、ビン・缶等のリサイクル品を回収し、業者に引き取ってもらいました。代金と町からの有価物回収補助金を合わせて4万円余りの収益になりました。

6月:世代交流フェスティバルへの参加。町主催の行事に参加することも補助金をもらう団体の仕事の一つ。ボランティアのお兄さん、お姉さんにリードしてもらっての大レクリエーション大会でした。

7月:夏のお泊まり会。近くの県立少年自然の家に1泊。5、6年生はおしゃべりをしてほとんど寝なかったとか。

8月:地区の盆おどりへの参加。6年生は男の子も女の子も和太鼓の叩き方を教えてもらい、当日は、おそろいの半天を着てあざやかなバチさばきを披露しました。

10月:追跡ハイキングへの参加。6月に続く町主催行事への参加。クイズを解きながらのハイキングで商品をいっぱい手に入れました。

12月:午前は冬の廃品回収。午後はクリスマス会。子供達は楽しく過ごし、役員のおばさん達は廃品回収が終わらない、昼食の数が足りないと大忙しの一日でした。

3月:「としまえん」へ6年生とのお別れ旅行。晴れなら遊園地、雨なら水族館と、久々に天気が気になりました。

 

 女性役員たちは自営あり、パートあり、小さな子供を育てる母でありで、仕事と育児の合間をぬっての活動ですし、子供達も塾だ、スポーツ少年団だと結構忙しい。時間の使い方が多様化している中で、子供会の活動がすごーく楽しみという子は減っていますが、常時7割程度の参加者があることから存在意義はまだあるようです。廃品回収では大きな子が小さい子に代わって重いものを持ってあげたり、お泊まり会では年上の女の子が指示して手打ちうどん作りの分担をするなどの姿が見られました。年の違った子供同士が遊べなくなった今、子供会がその場を提供しているとも言えそうです。

 また、子供達が地域の皆さん方にも支えられていることも実感しました。廃品回収で声をかけてもらったり、おばあさん達から盆踊りの指導をしてもらったり、役所の職員やボランティアの方々からも力を貸していただきました。こういうのを地域の教育力というのでしょうか。