母の野菜作りへの挑戦(のらやま通信 NO.62 2000年2月号)

母の野菜作りへの挑戦

 立春を迎えた我が家は梨の剪定で大忙し。その一方で、自給用野菜の種まきも始まります。どちらも(農業は何でもそうですが)時期を外してしまってはどうにもなりません。寒い日が続くのもいやですが、早く春が来てしまうのも困りものです。

 

 家の前の畑が我が家の汁飲み畑。こちらの方言では「しんのみばたけ」。いわゆる家庭菜園。この時期、すぐにでも食べられそうな野菜はホウレンソウ、京菜ブロッコリーぐらい。あとは5月になってようやく主役をはれるイチゴの苗、それに葉を霜にやられて土に潜っているニンジン。そんな寂しい様子です。

 

 我が家の「しんのみばたけ」の責任者は祖母。あの種は立春から何日で蒔かねばならない。この苗は彼岸から何日で植え付けなければならない。そのためにはいつまでに施肥をして、耕しておかねばならない。畑のこの部分は、去年、あれを育てたから、連作を避けるために今年はこっちの品種を作付けよう。等々。まさに歩く農事暦です。これまでは祖母にお任せでしたが、野菜に興味を持ってきた母も、今年からは祖母に教えられながらチャレンジすることに。

 まずは種苗会社のカタログを取り寄せてみると、あるある。一つの野菜でもいろいろな品種があります。たとえばトウモロコシ。(株)サカタのタネのカタログには、ゆめのコーン、ピーターコーン、ピーター早生1号、ウッディーコーン、スーパーハニーバンタム、等の全18種類。(株)タキイ種苗のカタログをみると、キャンベラ90、カクテル600、ゼリーバンタム、等の全10種類。記事の扱いから見ると、サカタはゆめのコーン、タキイはキャンベラ90がそれぞれの会社の今年のお薦めの品種のようです。美味しさで選ぶか、作りやすさで選ぶか、それとも収穫時期で選ぶか、カタログの説明やこれまでの経験、農家同士の情報交換によって今年の品種が決っていきます。

 

 さて、今年、母は何に挑戦するか。ジャガイモ、カボチャ、ニンジン、トマト、ピーマンといった主要な野菜は失敗は許されないからまだ祖母に任せよう。八百屋でもあまりお目にかかれない珍しい品種を育てるのも面白いかも、というわけで今いくつかに絞り込んでいます。

 まず、今年注目の野菜はパプリカというわけで、サカタのバナナピーマン。円錐形をしたバナナ型のピーマンで熟すに従ってクリーム色、黄色、オレンジ色、赤色と変化し、どの段階でも食べられます。収穫期の長さでいえば、茎ブロッコリー、サカタのスティックセニョール。5月から11月までの半年もつぎつぎと収穫できます。

  葉ものでは、ロケット。サカタのオデッセイ。ピリっと辛味を持ち、噛むとゴマの香りがするもの。中国野菜ではサカタのオータムポエムも美味しそう。青ものの少なくなる冬場に食べられるアスパラ風味の野菜のようです。

  それからミニトマト。サカタのレジナも面白そうです。草丈が15cm程にしかならず、鉢植え、鑑賞用にもなるとのこと。このほか、ズッキーニ(つるなしカボチャ)や手のひらサイズのミニカボチャもただ今検討中。はたしてうまくできますやら。乞う御期待。